■はじめに

今回はフュージョンギターを弾いていく上で使用するコードとスケールについてレッスンを行います。
これらを習得する上で”超重要”なポイントが3つ存在するので、下記を念頭において取り組まれて下さい。

①コードとスケールは切り離して考えない
②コードとスケールの捉え方を変える
③馴染みのポジションから度数を覚える

それではスタート。

■度数

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何はさておき、まずは度数について。度数とは基準となる音程(P1)からの距離の名称です。Cの音程を基準と設定するとDはM2(メジャーセカンド)、EはM3(メジャーサード)…のようにそれぞれ名称が存在します。

m:マイナー(短)
M:メジャー(長)
P:パーフェクト(完全)
dim:ディミニッシュ(減)
aug:オーギュメント(増)
b:フラット
#:シャープ

表2段目の白枠はテンション表記となっております。
テンションノートも同時に覚えていきましょう。

■コードの考え方

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Major Triad [Root M3 P5]
左図がよくあるコードダイアグラムですが、今後は右図のように度数でコードを把握しましょう。
度数を覚え、各コードの構成音を覚えていく事により、コード表がなくとも自分でコードを作り出す事が可能となります。もちろん複雑なテンションコードにも対応が可能となります。

トライアド(3和音)

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まずは3和音からスタートしましょう。Major(M)とminor(m)上段4つは必ず覚えて下さい。
この他にも3和音は存在しますが省略させていただきます。

テトラッド(4和音)

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次は4和音(1度+3度+5度+7度)。こちらも代表的な押さえ方のみ記載しております。

テンション

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2,4,6度は9th,11th,13thとも呼ばれ、通常のコードに付加してテンションコードを作る際にも使用されます。Root音の全音上が9th、M3の全音下が9thのように1,3,5,7度の音程からの距離でテンションノートを覚えていきましょう。

オンコード

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分数コードとも呼ばれ、最低音がコードのルート音以外の場合に使用されます。C/E(3度音がベース)やC/G(5度音がベース)など。コードの構成音以外が最低音になるような例外も存在します。

■アルペジオ

コードの度数について学んだところで、次はアルペジオ(分散和音)を覚えましょう。ここでいうアルペジオとは奏法ではなく、4和音コードの1,3,5,7度の音程となります。先程のトピックでお伝えしたように、コードダイアグラムを度数で覚える事を前提とすると、コードの形+数音で覚えることができます。弾き慣れたコードの周辺でアルペジオを完成させましょう。コードに沿ってソロを弾いていく上で大変重要な項目となります。一気に全てを覚えようとせず、各コードにつき5弦ルート1ポジション、6弦ルート1ポジションからスタートしましょう。

M7

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Major Triad [R M3 P5]+[M7]

7

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Major Triad [R M3 P5]+[m7]

m7

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minor Triad [R m3 P5]+[m7]

m7(b5)

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Diminish Triad [R m3 dim5]+[m7]

dim7

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Diminish Triad [R m3 dim5]+[bb7]

■スケールの考え方

スケールはよくある●黒丸ではなく、アルペジオ(コードの構成音)+テンションノートで覚えていきましょう。そうすることにより、コードに沿ったソロが弾きやすくなります。また、スケールのキャラクターノートを並行して覚えていくことで後々スケールの特性(キャラクター)を押し出していくことが可能となります。

メジャースケール

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ナチュラルマイナースケール

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メジャースケールの第6音から開始するスケール。メジャースケールが長調(メジャーキー)に対してナチュラルマイナースケールは短調(マイナーキー)となり、この関係を平行調と呼びます。

メジャーペンタトニックスケールとブルーノート

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メジャースケールから第4音と第7音を省くことで完成するスケール。使用頻度がとても高いスケールの1つとなります。このスケールに加えることができる主なブルーノートはm3の音程となります。

マイナーペンタトニックスケールとブルーノート

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ナチュラルマイナースケールから第2音と第6音を省くことで完成するスケール。使用頻度がとても高いスケールの1つとなります。このスケールに加えることができる主なブルーノートはb5の音程となります。

■メジャーモードスケール

メジャースケールは第何音から開始するかによってスケールの名称が変わります。例えばCメジャースケールをCから弾くとCイオニアン、CメジャースケールをDから弾くとDドリアンというように。「開始音が異なるだけなら覚えなくていいじゃん!」となりそうですが、キーCの楽曲でDm7(IIm7)がひたすら続くような進行でどのようにアプローチを行いますか。Cメジャースケール(Cイオニアン)と想定して弾くのと、Dドリアンと想定して弾くのでは違った聞こえ方になるでしょう。ここでも覚え方はアルペジオ+テンションノートとなります。

イオニアン

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[R M3 P5 M7]+[9 11 13]

ドリアン

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[R m3 P5 m7]+[9 11 13]

フリジアン

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[R m3 P5 m7]+[b9 11 b13]

リディアン

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[R M3 P5 M7]+[9 #11 13]

ミクソリディアン

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[R M3 P5 m7]+[9 11 13]

エオリアン

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[R m3 P5 m7]+[9 11 b13]

ロクリアン

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[R m3 dim5 m7]+[b9 11 b13]

■ハーモニックマイナーモードスケール

マイナースケールは3種類存在し、先程ご紹介したナチュラルマイナースケールの他にハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケールが存在します。今回はハーモニックマイナーモードの中から使用頻度が高い2種類のスケールのみご紹介します。

ハーモニックマイナースケール

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フリジアンドミナント(Hmp5↓)

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 [R M3 P5 m7]+[b9 11 b13]
マイナーコードへ向かうドミナントモーション時のV7で使用されます。

■メロディックマイナーモードスケール

メロディックマイナーモードの中でも特に使用頻度が高い3種類のスケールをご紹介します。

メロディックマイナースケール

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[R m3 P5 M7]+[9 11 13]
メジャースケールと3度の音程のみが異なります。

リディアンb7

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[R M3 P5 m7]+[9 #11 13]
リディアンドミナントスケールとも呼ばれます。

オルタード

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[R M3 m7]+[b9 #9 #11 b13]
※本来はVIIm7(b5)に対応するスケールですが、V7での使用を想定しているのでb5=#11、構成音も[R M3 m7]表記とさせていただきます。

■シンメトリカルスケール

ディミニッシュドスケール

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ディミニッシュコードで使用されます。

ハーフホールディミニッシュドスケール

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日本ではコンビネーションオブディミニッシュスケール、略してコンディミと呼ばれるスケール。ドミナントモーション時のV7に使用されます。

■まとめ

これまで、コードやスケールをダイアグラム(●黒丸)等で覚えていた方はコードとスケールの覚え方、捉え方を変えましょう。

①コードを度数で覚える
[1,3,5度] [1,3,5,7度]など

②覚えているコードの形の周辺で更に構成音を探す
[1,3,5,7を全て]

③アルペジオ(構成音)+テンションノートでスケールが完成
[1,3,5,7]+[9,11,13]=スケール

この考え方はコードに沿ったソロを弾くために、とても重要なテーマとなります。順番通りに少しずつ覚えていきましょう。スケールはメジャースケールとペンタは最低限、それ以外は必要に応じて覚えていっても構いません。

■教材ダウンロード

これらの譜例、教材をnoteよりPDFでまとめてダウンロードが出来ます。印刷して練習を行いたい方、投げ銭をしてもいいよ、という方がいればnoteからダウンロード下さい。